なぜ?ハイエースの事故車が高額で買取される理由とは。輸出業者がからくりを解説

ハイエース

 ハイエースは、国内外で非常に人気のある車両であり、その用途の広さと耐久性から、多くのユーザーに愛されています。

 しかし、事故車となってしまった場合でも、高額で取引されることがあるのをご存知でしょうか?
例えば、下記の事故現状のハイエースバンですが、走行距離35万㎞、使用年数10年以上です。

 写真のようにフロント部分を事故で大破しています。

 こちらは、ボロボロエースカウカウが当時25万円で買取させていただいた車両です。

一般的に、事故車は価値が大きく下がると思われがちですが、ハイエースに限ってはそうではありません。

 では、なぜハイエースの事故車が高額で売れるのか、その背後にある輸出市場のからくりについて詳しく解説していきます。

ハイエースの事故車が高額査定される理由とは?

 まず最初に、ハイエースの事故車が高額で取引される理由を理解するためには、ハイエースそのものが持つ特性や、国内外での需要を把握する必要があります。

 ハイエースは、国内では商用車として、また海外では個人利用や公共交通機関の車両として幅広く活用されています。

 下の写真は、ウガンダの乗り合いタクシー広場の写真です。見渡す限りのハイエースは全て古いハイエースバンです。ちなみに、この中にライバル車である日産のキャラバンはほとんどありません。

 その理由も、この記事内容に深くかかわっています。理由は後述します。

見渡す限りのハイエースは全て20年落ち以上のハイエースバン

 このように多用途であるため、事故車であっても「再利用価値」が極めて高いと評価されることが多いのです。

ハイエース事故車の輸出市場での需要の高さ

 特に注目すべきなのは、海外市場でのハイエースに対する強い需要です。日本国内では修理費用が高額になるため、事故車は低価で処分されることが一般的ですが、海外では事情が異なります。

 多くの国では、修理コストが低く、また、パーツの供給も容易なため、事故車でも十分な価値を持ちます。

 特に、ハイエースはアジアやアフリカ、中東といった地域で非常に人気があり、事故車であっても輸出業者からは高く評価されることが多いのです。

 

キャラバンではなく、ハイエースのパーツが海外で必要とされる理由

先ほど、キャラバンはなかなか輸出されないのに、ハイエースが輸出されると書きましたね。

 その最大の理由は、一番最初に海外で名前が浸透したのがハイエースだからです。

海外で最初に有名になったハイエースは、現地で活躍した後に、交換が必要な部品が発生しますね。そうすると、日本からその必要な部品が取り寄せられます。また、中国などの国では、ハイエースのパーツに需要があることが知れ渡り、安い交換部品を製造して、そういった国に輸出するようになります。

 すると、交換部品が供給がスムーズになり、故障してもパーツがすぐに手に入れられるようになります。

 このような循環のサイクルが生まれると、日本では同じような車とされているキャラバンが後から入る余地が無くなります。なぜなら、キャラバンだと、故障した場合に部品が手に入らない可能性があるからですね。

事故車でも高額査定になる理由は?

では、事故車であってもなぜ高額査定がされるのでしょうか?その理由は大きく分けて3つあります。

ハイエースの海外における人気が影響

 ハイエースは、その耐久性と信頼性の高さから、多くの国で長距離移動や商用目的で使用されています。

 特に、道路インフラが整っていない国々では、信頼性の高い車が求められます。ハイエースはその要件を満たしており、中古車市場でも非常に人気が高いのです。

 例えば、事故車であっても少しの修理で走行が可能になるものであれば、現地で再利用されることが多いため、輸出市場での価値が落ちにくいという特徴があります。

事故車でもパーツ需要が高い理由

 そもそも、事故車で車両全体が損傷していても、ハイエースのパーツは海外で非常に高い需要があります。

 例えば、エンジンやトランスミッション、ドア、タイヤなど、使える部品はすべて海外で高額で取引されることが一般的です。

 そのため、国内にある解体業者が、事故車を高額で買取して、それを国内の解体工場で解体して上記のような高額な使える部品を集めて、海外にパーツとして輸出しています。

 部品としてバラバラに輸出する方が、最終的な利益は高くなる場合も多々あります。

そのため、国内で事故車として引き取られたハイエースも、国内の業者オークションで解体屋さん同士が高額で競り合うため、結果的に事故の無いハイエースとほとんど変わらない金額になることが多いです。 

輸出業者や解体業者が選ぶハイエース事故車のポイント

 輸出業者や解体業者がハイエースの事故車を選ぶ際には、いくつかのポイントが重視されます。まず、車両の状態が重要です。外装が大きく損傷していても、エンジンやトランスミッションが正常であれば、高い評価を受けることが多いです。

 また、事故の規模や修理可能性も重要な判断材料です。軽微な事故であれば、現地で簡単に修理され、すぐに再販されることが期待できます。さらに、走行距離も重要な要素であり、低走行距離の車両は事故車であっても特に高額で取引される傾向にあります。

事故車の買取相場はどう決まる?

ハイエースの事故車の買取相場は、さまざまな要因によって決まります。ここでは、その主な要素をいくつか挙げてみましょう。

車両の年式とモデル

年式が新しく、最新のモデルであればあるほど、事故車でも高額で買取られる可能性が高いです。特に、海外では新しいモデルのハイエースは非常に人気があり、現地での再販価値が高いため、輸出業者も積極的に買取を行います。

走行距離

走行距離が短ければ短いほど、事故車でも高い評価を受けやすいです。走行距離が短い車両は、エンジンやトランスミッションなどの主要なコンポーネントが比較的良好な状態であることが期待できるため、修理して再販する場合にもリスクが少なくなります。

損傷の程度

損傷の程度も買取価格に大きく影響します。軽微な損傷であれば、修理にかかる費用が低いため、再販時の利益が見込めます。一方で、フレームやエンジンに重大な損傷がある場合は、修理費用が高額になるため、買取価格が下がることがあります。

部品の需要

前述したように、ハイエースの部品は海外で非常に需要が高いです。特に、エンジンやトランスミッション、車軸、ブレーキシステムなど、主要なコンポーネントが無傷であれば、パーツ取り車としても高く評価されます。部品の状態が良ければ、車全体が損傷していても、輸出業者は高額で買取を行うことがあります。

海外市場の需要

輸出先の国や地域によっても、買取価格は変動します。例えば、ハイエースの需要が非常に高い国では、事故車でも高額で取引されることが一般的です。特に、アジアやアフリカ、中東といった地域では、ハイエースは商業用車両としても個人用車両としても広く利用されており、そのため、事故車でも買取価格が高い傾向にあります。

まとめ

 ハイエースの事故車が高額で売れる理由は、単なる「事故車」では終わらない、その高い再利用価値にあります。特に、海外市場ではハイエースに対する強い需要があり、事故車であっても修理され、再販されることが一般的です。

 また、ハイエースのパーツ自体も非常に人気が高いため、事故車でもパーツ取りとして高く評価されることが多いです。買取相場は、車両の年式やモデル、走行距離、損傷の程度、そして輸出先の市場の需要によって決まりますが、総じてハイエースは事故車であっても高額で取引される傾向にあります。

事故車を手放す際には、ただ単に国内で処分するのではなく、輸出業者に相談することで、思わぬ高額査定が得られるかもしれません。ハイエースの事故車は、国内外での需要の高さを背景に、今後もその価値が続くことが予想されます。