本来は高く売れるトヨタ車の下取りが安い裏事情とは?

ハイエース

トヨタ車は他のメーカーに比べ、基本的に売却時の価格が高い事でよく知られています。

 以前書いた記事ですが、トヨタ車のリセールバリューの高さについては、「リセールバリューランキング!アホですか?というぐらい高い車まとめ」という記事をご覧いただければ分かります。

 しかしながら、実際にトヨタの新車ディーラーに下取りに出すと、安い査定額しかつかない場合が多々あります。

本日はその不可解な現象について迫っていきたいと思います。

 

 

なぜトヨタ車はリセールバリューが高いのか?

 そもそも本来は、新車時の価格が同様の車が、売却する際に、メーカーによってその価格に差が出るという事は非常に考えにくことです。

なぜなら、

 新車が沢山売れた人気車種は、中古でも人気があります。新車が沢山売れたという事は、売りに出される車の玉数も増えるので、中古車として人気があっても、需要と供給のバランスが取れるはずです。

 逆に新車時に人気の無かった車は、売りに出される車の数が減ります。中古車としても、市場にある車自体の数が少なくなりますが、中古車としての人気もないわけですからこれも需要と供給のバランスが取れるはずです。

 つまり、中古車価格は、新車時の価格が同じ価格帯で、車の状況が同様の車両であれば理屈上は、どのメーカー、どの車種であっても同じような価格になるはずです。

 

前置きが長くなりましたが、このような理論上はある程度一定であるはずの車の売却価格ですが、

現実には、トヨタ車の売却価格は全体的に非常に高いです。

 そして、車種によっては、異常なほど高く売却できる車種もあります。

しかし、さらに恐ろしい事ですが、本来高く売れるはずのトヨタ車ですが、なぜか、本命のトヨタ系列の新車ディーラーに下取りに出すと、全くもって高く売れない場合があります。

 そこには、だらだら書いてしまったこの前置きが、大きいにかかわっています。

 

トヨタ車が高く売れる原因とは

なぜ、トヨタの車は高く売れるのでしょうか?

 冒頭に書いたように、”国内だけの事情”を考えれば、中古車価格において、”トヨタ車だけが高くなる”理由はどこにもありません。

 

そうです。つまり、理由は国内ではありません。海外にあります。

 

海外で異常なほどまでに信頼されているトヨタ車

日本の車は、海外でも人気がありますね。

 

特に、発展途上の国々に行けば、日本車の割合いの多さに驚くことになるでしょう。

 そして、その中でもトヨタ車の人気は圧倒的なのです。

 

発展途上国に行って驚くのは、その車の古さやコンディションです。

日本国内では、あまり古い車を見かけませんよね?

 

 しかし、海外では、30年前の車が走っていたり、乗用車でも走行距離が30万kmとか50万kmの車が平気で走っていたりします

日本のような、車に関する税金や、厳しい車検制度の無い国では、車はよっぽどの事が無い限り、簡単に乗り換える事はありません。

 

 そんな海外で、なぜトヨタ車の人気が圧倒的なのかというと、海外の人が揃って口にするのがその”壊れにくさ”だといいます。

 

車を10年以内、走行10万km以内にポンポンと乗り換える日本人には、逆にあまり知られていない事実ですが、

車はメーカーにより、古くなればなるほど、その耐久性に明らかな違いが生じます。

 

 車業界では特によく知られている話ですが、国内でも”外車”の多くは、走行5万km~10万kmで何かしらの大きなトラブルが発生することが多いです。

では、国産車の中で、耐久性に違いがある事は?と聞かれると日本人は、ほとんどの人が知りません。

 

 しかし、一度買った車をエンジンやトランスミッションが壊れるまで走り続ける海外の人には、どのメーカーの、どの車種車が30万km、50万kmの走行に耐えられるのか、実際に走り比べた結果を良く知っています。

 結果的に、トヨタ車はその圧倒的な耐久性で、海外では驚くほどのシェアを誇るようになっています。

弊社(車両輸出代行センター)は、これまでもアフリカを中心に中古車を輸出していますが、実際にアフリカの国に訪れてみると、

トヨタ車のシェアの割合の高さに圧倒されます。

 

 私が滞在した、タンザニアの首都ダルエスサラームでは、正確な数を調査したわけではありませんが、

8割方は、トヨタ車ではないか?という程のシェアを占めていました。

 

 間違えないでくださいね、8割が日本車ではありません。8割がトヨタ車なのです。

 

さらにこれらの車は、新車で輸入されて乗りつぶされたものではありません。

ほぼ100%が日本の中古車が、船に乗せられてそのまま輸入されたものなのです。

 

 ではここまでの話をまとめてみましょう。

  1. 海外の人は、一度買った車をエンジンや、トランスミッションが潰れるまで、30万kmも50万kmも使用し続ける
  2. 海外の人は、どのメーカーのどの車種がどれ程の耐久性を持っているかを日本人よりも知っている
  3. そんな彼らが選ぶのが多くがトヨタ車の特定の車種を選択する
  4. 彼らが使用する車のほとんどは、中古車として日本からそのまま船で運んだもの

さて、日本人がほとんど知らないこの4つの状況を考察すると、日本の中古車市場にどのような事が起こるでしょうか?

考えてみましょう。

国内中古車市場で特定のトヨタ車に異常な高値が付く理由とは?

冒頭で、日本における中古車の卸売市場価格(オークション相場)は、日本国内だけを考えれば、本来、どのメーカー・どの車種を買っても理屈上は差が無いはずと書きました。

 しかし、そこに、上にまとめて書いた海外の4つの状況を加えて考えてみましょう。

海外特に発展途上国の人々にとって車は、それを日本から輸送する船賃や、とんでもなく高い関税を払って買うわけですから、一度買った車は一生ものです。絶対に妥協はできません。

 壊れにくくて、しかも壊れても部品が揃うメーカーや車種のものしか買おうとしません。

そうすると、自ずと特手のメーカー(トヨタ)の特手の車種に、需要が集中します。

 

 国によっては、多少の車種の違いは出ますが、人気車種は、世界中から需要が集中することになるのです。

しかし、その良質な中古車は一つの国=日本からしか、手に入りません。

 

 ここまで説明すれば、もうこれ以上説明不要ですね。

 

当然、トヨタ車の特定の車種の国内での市場価格は、海外の異常なまでの需要によって、跳ね上がってしまう結果となるわけです。

 

 しかしながら、このような事情にも関わらず、この車をトヨタ系列の新車ディーラーに下取りで持ち込んだらどうなると思いますか?

 

実は、他の一般的な車と同様、使用年月、走行距離などで、他の一般的な車と同じような下取り基準で同じような価格で、下取りされてしまうのです。

 

なぜ?トヨタの新車ディーラーがトヨタ車の下取りを安くするのか?その実態とは?

もちろん、こればかりは、真実はディーラーの経営陣に直接聞くしか方法はありません。

 ここからはあくまで私の推測で書いていきます。

 

この理由について、かなり詳細に考察した過去記事があります。興味を持った人は、

【車の下取り】を検索する人が車買取業界で”カモ”と呼ばれる理由

をご一読してみてください。

 

 本記事では簡単にその理由を説明したいと思います。

下取りが安くなる理由①不用品回収であるから

 新車ディーラーの本来の仕事は何でしょうか?

そうです。「新車を販売すること」ですよね。

 

 そもそもディーラーが下取りをやっている目的は、

あくまでも、新車を販売するためなのです。

 

 一台も車を持っていない人が、新車をいきなり買うケースはそれほど多くありません。

たいていは、今乗っている車を処分して、新車を買う事がほとんどじゃないでしょうか?

 

 ディーラーの立場から見れば、お客さんが今乗っている車をどうにかして、処分させない限り新車を売る事が出来ないわけです。

そうすると、当然、「下取り」のようなサービスが自然発生的に生まれるのです。

 

 つまり、ディーラーにとって、下取りは、不用品処分です。

さらに言えば、新車が欲しくなったお客さんにとっても、下取りは不用品処分なわけです。

 

 当然ですが、売る側も買う側も「不用品」というものにあえて高い値段を付ける必要はどこにもありませんね。

 

さらに、ディーラーにとって、自社メーカーの中古車の中古車価格が高いのは、実はあまり好ましくないのです。

 なぜなら、何年乗っても、車の価値が落ちないと、ユーザーの乗り換えが進みにくくなるからです。

 

「車は1年ごとに、どんどん値段が下がっていきます。同じように下がるなら、さっさと売って、新しい車に乗る方がお得ですよ。」

と言った方が、新車が売りやすいのは当然ですよね?

 

 

ですので、ディーラーの下取りの特徴として、

「古ければ古い程、他社よりも安い金額で査定する」

というものがあります。

 

古い車にいつまでも乗ったユーザーは、ディーラーにとっては好ましい客ではないのです。

 

トヨタは会社として「中古車の輸出」を嫌っている

中古車価格がなかなか下がらないのは、その車のメーカーにって、好ましくありません。

 なぜなら当然ですが、中古車が高く売れても、メーカーには一銭も利益は入りません。

それどころか、上に書いたように、「中古車の価格は、毎年どんどん下がっていく」という新車を売るときの、

殺し文句が使えなくなるのです。新車販売に悪影響を及ぼしかねません。

 

 これはディーラーや、メーカーにとっては死活問題です。

 

で、トヨタの場合は、とくに海外の中古車人気の影響を最も受けています。

しかし、海外でいくらトヨタ車の人気があっても、それはあくまで、”中古車”の話です。

 

トヨタには全く関係ない話なのです。

 

 つまり、トヨタにとって、「中古車の輸出は、まさに百害あって一利無し」の存在なのです。

 

なぜ、私がここまで言い切れるのかと言うと、

 輸出業を始めたての頃、仕入れのため、あるトヨタのディーラー系列の中古車を訪ねた際のエピソードがあるからです。

 

ディーラーに入って程なくして、営業マンが笑顔で現れて、

「どんな車をお探しですか?」

と聞かれたので、

「2012年式ハリアーを探しています。輸出をしようと思って・・・」

と言うと、営業マンの表情が一気に曇りました。

 

「輸出という事ですと、あなたに車を売る事はできません」

とかなり強い口調で言われました。それどころか、

「輸出業者という事でしたら、今後この敷地内にあなたを入れる事もできなくなります。」

とまで言われたのです。

 

 輸出を始めた間もないころで、あまりにもショックでセンセーショナルな記憶なので、間違いありません。

 

その後、いろいろな情報を整理していき、「トヨタが輸出を嫌う理由」を私なりに考察したのがここに書いたものになります。

 

 まあ、いずれにしても、

事実として、トヨタ車は途上国ではとてつもなく人気がありますが、

だからと言って、ディーラーが下取り価格を高くすることはあり得ない理由はこういったことだと推測しています。

 

トヨタ系列のディーラーの下取りに出してはいけない車種とは

ここまで、読んで頂ければ、

「海外で人気の高い車種」は特に下取りに出してはいけない事が伝わったと思います。

では、トヨタ車の中で、「海外で人気の高い車種」とはどんな車種なのか、一覧でまとめていきたいと思います。

SUV

  • RAV4
  • ヴァンガード
  • キャミ
  • クルーガー
  • ハリアー
  • ランドクルーザー
  • ランドクルーザープラド
  • ラッシュ

セダン

  • カローラ
  • スプリンター
  • カローラアクシオ
  • カムリ
  • カリーナ
  • プレミオ
  • アリオン
  • ベルタ
  • プリウス

ハッチバック

  • アレックス
  • カローラランクス
  • イスト
  • ヴィッツ
  • オーリス

ステーションワゴン

  • カローラフィールダー
  • カローラワゴン
  • カルディナ
  • ラウム
  • サクシード
  • プロボックス

ワゴン(バス)

  • ハイエースワゴン
  • タウンエースノア
  • ライトエースノア
  • ハイエースレジアス
  • レジアス
  • グランヴィア
  • グランドハイエース
  • ツーリングハイエース
  • コースター
  • カローラスパシオ
  • イプサム

スポーツカー

  • 86
  • MR2
  • アルテッツァ
  • カローラレビン
  • スープラ
  • セリカ

バン・トラック(商用車)

  • ハイエースバン
  • レジアスエースバン
  • プロボックスバン
  • サクシードバン
  • トヨエース
  • ダイナ

特にハイエースの下取りは要注意

下取りNGの車の中でも、ハイエースは特に注意が必要です。

 なぜなら、ハイエースは世界でナンバー1の人気車種だからです。

日本でも、現行のモデルでイモビライザーが標準装備されるまで、長年、盗難車のダントツのナンバー1を取り続けた車です。

 もちろん盗難車のほとんどは海外に密輸されているのが実態です。

それほどに、異常なほど海外で人気のある車なのです。

詳細はハイエースの買取専門店ならばボロボロエースカウカウという記事をご一読ください。

 さらに、ハイエースやレジアスエースは、国内でもこの15年間モデルチェンジがされていない根強い人気車種です。

 そのせいもあり、ほとんどのユーザーが、何十万kmも走った後、十分に乗りつぶした状態まで乗って売却する車です。

 そうすると、ますますディーラーの下取りでは「値が付かない」と言われ、査定額は驚く程低いものになります。

 弊社ではよくある話ですが、

「ディーラーでは0円と言われたのに!?本当に30万円で買ってもらえるんですか?」

なんていう事が日常茶飯事としてあります。

 

 断言しておきますが、ハイエースと名の付く車で0円という査定はあり得ません。

どんなに古くて過走行でも、そんなハイエースは有りませんので、注意しましょう。