ハイブリッド車のバッテリー寿命を1500のデータより測定してみた

ハイブリッド車
記事監修者:
古物商:大阪府公安委員会第622030193808号
JAAI認定中古自動車査定士 査定士番号:0061753379
株式会社Direct Stock Japan 代表取締役 山本剛

1997年12月「21世紀に間に合いました」という名キャッチコピーとともに、鮮烈デビューした初代プリウスの登場から、19年が経ちました。

 この約20年間で、ハイブリッド車めざましく進化してきています。

各メーカーはこぞって、ハイブリッド車の開発競争をし、今では、ハイブリッド車は乗用車全体の1割を占める程のシェアにまでなってきました。

 しかし、そんな大人気のハイブリッド車ですが、

デメリットの一つに、

 「ハイブリッドシステムのバッテリーの寿命」という物があります。

 

仮に、このバッテリーが寿命を迎えて、交換せざるを得なくなると、

 かなり高額の交換費用がかかることになります。

 

初代プリウスなど、発売当初のハイブリッド車は、7万km~10万km程度で交換が必要となるケースが多かったようです。

 しかも、その交換費用がなんと70万円(ディーラーで新品バッテリーに交換した場合)

 このあまりにも高額な交換費用と、その寿命の短さのインパクトが大きく、

 

今でも、「バッテリーの寿命」を懸念して、ハイブリッド車を避ける人も少なくありません。

 

 では、最近のハイブリッド車はどうなのか??

その気になる寿命について、検証してみました。

調査方法について

調査方法

 直近の国内の業者オークションにおいて、取引された車毎に、年式の古いものから100台の出品表をチェックし、メインバッテリーの警告灯が点灯している車の台数を調査する。

ハイブリッドシステム以上警告ランプ チェック

カウントについて

メインバッテリー警告灯と表示・・・1

ハイブリッドシステム警告灯・・・0.8(ハイブリッドシステムの以上を知らせる警告灯、バッテリーの劣化を示す場合が多い)

単に警告灯と表示・・・0.5 (初代プリウスのみ、ハイブリッドシステムと表示せず、単に警告灯点灯と書いていある場合がおおく、半分ぐらいはバッテリーが原因のものと思われる)

調査結果の信頼性

 オークションの出品表は、公正性を問われるものであり、警告灯の見落としは厳禁である。そのため、見落としはほぼ考えられない。

メインバッテリーの交換は、車を乗り替えるきっかけとなりやすい。また、オークションに出品する際は、どの業者も整備せずそのまま出品する事がほとんどであるため、オークションに出品されている車にバッテリーの警告灯が付いている可能性は、現役で走っている車に比べて高いはずである。

プリウス(トヨタ代表)のバッテリー寿命について

まずはハイブリッド車の代表として、プリウスのバッテリー寿命について調査してみました。

 初代のプリウスからどれくらいバッテリーが進化しているかについても比較するため、

10系(初代)、20系(二代目)、30系(三代目)について比較しています。

 

 

調査結果

 

走行0万~

10万km

走行10万km~

20万km

走行距離20万km以上

 

初代プリウス

H9年~

5.7 7.6 7.9           ※1

二代目プリウス

H15年~

2.4 2.1 4.7 

三代目プリウス

H21年~

4.2 

※1・・・82台のデータしかなかったため、カウント6.5×100/ 82=7.9として計算しています。

初代~三代目 プリウスのバッテリー寿命の調査結果まとめ

初代プリウス NHW10,NHW11について

プリウス(初代)

参照元:http://www.hybrid-nenpi.com/history/

表の数字は、例えば、10万km以内の5.7という数字ついて説明する。

これは、100台中の5.7台(5.7%)でメインバッテリーに異常が生じていると推測される事を意味しています。

 この数字が高いか低いかという問題ではなく、ここでは、二代目、三代目のバッテリー性能と比較するための基準としておいた方がよさそうです。

 ネット情報などを総合すると、初代プリウスのバッテリーは7万~15万km走行でダメになるという情報が多いです。

 この調査結果からも、約10万km以下と以上の境界で、数字が上がっている事から、このあたりが最もバッテリーに不具合が出やすいタイミングとみていいのではないでしょうか?

二代目プリウス NHW20 について

プリウス(2代目)

参照元:http://www.hybrid-nenpi.com/history/

 初代プリウスに比べ、20万km以下のものについては、数値が約1/3まで減っています。二代目プリウスでも、すでにバッテリーの性能がアップ⤴している事がわかります。

 また、20万km以下が横ばいで、それ以上の距離になると、数値が少し上がっています。

このことから、バッテリーの寿命も20万km近くまで引き上げられている事が推測されますね。

三代目プリウス ZVW30 について

プリウス(3代目)

参照元:http://www.hybrid-nenpi.com/history/

 さあ、それでは、三代目プリウスの実力を見てましょう。なんと、20万km以下では、バッテリーの不良を示す、警告灯が点灯している車は100台中ゼロでした。

 この調査結果より、現在の(トヨタの)ハイブリッド車のバッテリーは、20万km以下程度ではほとんど交換が必要のない事がほぼ証明された事になります。  

 20万kmを超えたあたりから、数値が上がっている事が余計にこの調査結果の正当性を裏付けているのではないでしょうか?

 三代目プリウスについては、バッテリーの寿命は20万km以上と考えてよさそうです。

では現行の四代目プリウスの寿命は??

carlineup_prius_top_1_pc

参照元:http://toyota.jp/prius/

20万kmと言えば、日本においてはほぼ車の寿命と言っていいでしょう。ましてや、ここまで距離を走れば、ハイブリッド車は燃料代で、十分元を取れています。

 恐らく、四代目プリウスについても、同程度かそれ以上のバッテリー性能が期待される事から、トヨタ車のハイブリッド車においては、もうメインバッテリーの交換リスクは気にする必要が無くなったと考えて間違いないでしょう。

ホンダのハイブリッド車のバッテリー寿命について

今回は、ホンダ車のハイブリッド代表として、シビックハイブリッドインサイトのバッテリー寿命を調べます。

 

走行0万km~

10万km

走行10万km~

20万km

走行20万~

 

シビックハイブリッド

初代ES9(H14~)

 4.2 ※1 10.5      ※2 

シビックハイブリッド

二代目FD3(H17~) 

 3.6  5・0   ※3
インサイト(H21~) 0 0 1.3

※1 車両データが12台分のため、0.5×100/12=4.2 と計算

※2 車両データが22台分のため、2.1×100/22=10.5 と計算

※3 車両データが32台分のため、1.6×100/32=5.0 と計算

ホンダのハイブリッド車 シビックハイブリッドとインサイトのバッテリー寿命調査結果より

初代シビックハイブリッドES9について

シビックハイブリッド(初代)

参照元:http://www.hybrid-nenpi.com/history/

ホンダが(初代インサイトを除く)初代プリウスに対抗し、初の本格ハイブリッドセダンとして発売したこのモデルですが、やはり初代プリウス同様、当時のバッテリー寿命は10万km前後だったようですね。

 10万kmを超えると明らかに、IMAシステム(ハイブリッドシステム)の警告灯が増えています。

二代目シビックハイブリッドFD3について

シビックハイブリッド

参照元:http://www.hybrid-nenpi.com/history/

発売時期から見ると、二代目プリウスに若干遅れを取って発売されていますが、初代シビックハイブリッドに比べ、バッテリー性能は多少の向上が見られるようです。

 また、10万kmの境界で、数値がそれほど大きな変化を見せていない事から、バッテリー寿命は15万km前後まで伸びている事が推測されます。

インサイト(H21~)について

インサイト(ハイブリッド専用車)

参照元:http://www.hybrid-nenpi.com/history/

ホンダのハイブリッドセダンの代表であるインサイトです。

 発売当初、プリウスの対抗車として、爆発的にヒットしたこの車ですが、直後に発売された三代目プリウスに押され、2014年には生産終了となったこのモデルですが、

 バッテリー性能は、これまでのホンダ製ハイブリッドと比べ格段に向上している事がわかります。

三代目プリウス同様、20万km以下の対象車両では、一台もメインバッテリーの交換を要する車が見つかりませんでした。

 さらに、20万km以上においても、IMA(ハイブリッドシステム)警告灯の点灯車種はかなり少なく、3代目プリウスをしのぐ耐久性と言ってもいいでしょう。

ハイブリッド車のバッテリーの交換費用(参考)

  バッテリーの交換費用 参考URL

20系プリウス

新品

約14万円+工賃

http://blogs.yahoo.co.jp

/s1137062/63842412.html

20系プリウス

リビルト

約10万円+工賃

http://blogs.yahoo.co.jp

/s1137062/63842412.html

30系プリウス

新品

約14万円+工賃

http://www.hybrid-car-guide.com

/sonota-info/battery-hiyou.html

30系プリウス

リビルト

約10万円+工賃  

二代目シビックハイブリッド

新品

約28万円+工賃

http://minkara.carview.co.jp/car

/honda/civic_hybrid/qa/unit5951/

インサイト

新品

約23万円+工賃

http://minkara.carview.co.jp/car

/honda/civic_hybrid/qa/unit5951/

 

まとめ

 ハイブリッド車の発売当初の印象があまりにも強く、

未だに「ハイブリッド車は高額なメインバッテリーの交換が1番のデメリット」

と思っている人が少なくありません。 

 

しかしながら、現在では、ハイブリッドを製造している各メーカーは、

「ハイブリッド車のバッテリー寿命は、車の寿命」

と説明しています。

 

 今回の調査で、このメーカーの説明に、ウソや誇張が一切ない事がわかりました。

少なくとも、私自身は確信を持つことができました。

 

 

 もし、あなたがハイブリッド車の購入で、バッテリーの交換を心配しているなら、思い切って購入して、後悔する事はなさそうです。

 この記事が、少しでもハイブリッド購入者の参考になればうれしいです。

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