ハイエースは、言わずとしれた超人気車両です。
ハイエースが欲しい・・・でも・・新車で買うには、手が出ない。
となれば、やはり中古車で・・・ということになりますが、気になるのはやはりその値段ですよね?
前回記事「ハイエースの中古がどうしても高くなる理由」にも書きましたが、
ハイエースの中古はとても高くなるのです。
その理由は、国内でも人気な上に、ハイエースの場合、それ以上に海外での異常なまでの人気があり、
中古車の相場を決定すると言われている「業者間のオークション相場」が、輸出業者の以上な応札で、例外なく値段が高騰してしまうからです。
そんなハイエースを安く買う方法があります。
その方法は、実にシンプルです。
「海外から異常な需要を避けたハイエースを買えばいい」という事なんです。
ハイエースをなるべく安く買う究極の方法とは
私は、輸出業者でハイエースの買取を専門にしている「車両輸出代行センター」の代表をしています。
輸出の裏事情が、国内の中古車相場に、大きな影響を与えている・・・なかなか信じがたい事実ですよね。
しかし、現実として、次のような事例は、日常的に起こっています。
例えば、
- 平成24年式のハイエースバン DX ディーゼル 2WD
- 平成23年式のハイエースバン DX ディーゼル 2WD
という2台のハイエースがあります。
まず、このケースで、日本に住んでいて、24年式のハイエースを選ぶ人は、バカを見る事になります。
なぜでしょうか?
こちらの車両ですが、登録年式が1年違うというだけであとは全て同じ条件です。
この条件で、業者オークション相場の平均価格を比べると、なんと
(平均走行距離に若干に差はありましたが)なんと平均価格で70万円程の差が生じています。
つまりは、業者オークション相場で24年式は、23年式の倍以上の金額で取引されているのです。
国内市場で見ると、ここまで顕著な差はありませんが、明らかな差がある事は確かです。
しかし、気になるのは、「なぜここまでの差が生まれるのか??」という事ですよね。
輸出が絡むと相場がゆがみます。
なぜたった、1年違っただけで、こうまで相場にくっきりと差がでるのでしょうか?
例えば、この24年式と23年式のハイエースですが、これは、原因がはっきりしています。
この差の原因はケニアの輸入規制が関係しています。
ケニアは、昨今で、中古車輸出台数が急速に増えてきている東アフリカの中でも、
ナンバー1・2を争う程の、中古車輸入大国です。
そのケニアですが、中古車の輸入に関し、規制を設けています。
それが、「初度登録から7年以内の中古車しか輸入できない」という規制です。
つまり、令和元年(平成31年)の今年は、7年落ちにあたる、平成24年に初度登録した車(24年式)までしか、
輸入ができないというルールを設けているのです。
また、関税の関係もあり、年式が25年以上のものはあまり好まれません。
さらに、海外は、自国で部品を製造できないため、輸入される車は、もともとその国で人気のある車両(中古部品が揃う車種)に自然に限定されていく傾向があり、
バンと言えば「ハイエース」という概念が完全に染みついています。
ライバル車であるキャラバンが、同じような条件のハイエースと比べて、相当安くても、やはりハイエースが選ばれます。
たった一国の事情ですが、
経済発展の著しい、一つの輸入大国の需要が、一つの車種の24年式に一点集中するのです。
当然、業者オークションでは、24年式のハイエースをめぐって、輸出業者の熱い応札合戦が繰り広げられます。
当然、その条件にハマる車の相場は、歪んでしまうわけですよ。
このケニアのハイエースの例ですが、少し条件が変わるとほとんど影響が無くなります。
例えば、
- グレードがスーパーGL
- 燃料がガソリン
- バンではなくワゴン
というような条件が入ると、とたんにその影響は小さくなります。
とはいえ、条件にはまる中古車は、無駄に高い金額で購入することになりますので、
言い方は悪いですが、日本国内の中古車としては”NG車種”という事になりますね。
他にはどんなNG車種があるのか?
代表的な物で言えば、
- ランドクルーザープラド
- ハリアー
- RAV4
- プレミオ
- カローラ
等々は海外でどの国にも人気のある車です。
ただ、国産車の種類は膨大な種類があり、
また、日本から中古車を輸入する国も、何十か国もあります。
本題のハイエースに関していえば、これまた世界中どこでも人気のある、輸出人気ナンバーワンの車です。
しかも、それぞれの国で輸入規制があったりなかったりするので、
全てを詳細に説明することはできません。
しかも、ケニアの例でも「近々規制が5年以内という規制に変化する」という噂もあり、現地では新聞報道になる程のかなり信憑性の高いウワサです。
このように、海外の規制は、かなり頻繁に変更される事がありますので、NG車が一定の条件で固定されるという事も無いのです。
では、NG車種を避ける方法はあるのでしょうか?
NG車種を避けて、上手なハイエースを購入するには??
中古車を購入する際、たいていは、希望の条件で絞り込みをすると思います。
- 年式は○○年落ちまで
- 走行は○○万kmまで
- 色は○○
- グレードは○○で
- 修復歴は○○で
一つ一つ確かめていきましょう。
①年式について
まず、ハイエースの場合、この中でも①の年式の絞り込みは危険です。
理由は、上記に説明済みですね。
例えば5年落ちという希望でも必ず6年落ちや7年落ちぐらいまでのハイエースも参考までに、見積もりを取っておくべきだと思います。
「6年落ちなら極端に安くなる」というケースもあるかもしれません。
②走行距離について
年式とは全く逆で、②の走行距離の絞り込みは、必ず加えた方がいい項目です。
海外では相場は走行距離に対してかなり寛容です。国によっては、多少走行距離にうるさい国もありますが、特にハイエースに関しては、最終的には50万km~100万km程度の走行を想定している車です。
つまり、海外の人々にとって、10万km走行のハイエースと20万km走行のハイエースは大した差が無いのです。そのため、業者オークションの相場も、大きく変わらない事が多いです。
しかし、国内においては、10万km程度の車両と、20万km以上のハイエースでは、かなり需要が違ってきます。
もし中古ハイエースの購入の際「少しでも安い方がいいし、俺は距離にはあまりこだわらないから、20万km以上でもOKだよ」というような要望を出すと、結果的に、10万km以内の車両と大きく値段が変わらないのに、コンディションの悪い20万km走行の車を買うハメにもなりますよね。
③色について
色に関しては、昔は海外では白が人気で、シルバーや紺といった、色付きの車は基本的に海外では売りにくい車でした。
しかし、今日では、色による海外の需要の差はあまりなくなってきました。
国内事情も含めると、全体として、黒(ガンメタやグレーなどではなく、真っ黒)が国内でもっとも人気があり、若干他の色に比べて高くなる傾向があります。
それに続いて、パールホワイトも人気です。それ以外は、色による差はほとんどありません。
色に関しては、好みの色で選らんでも、問題は無いかと思います。
④グレードについて
これは、ほとんど全世界共通ですが、海外では、上位グレードのスーパーGLが下位グレードのDXより高いという事はありません。
むしろ、スーパーGLは標準の乗車定員が5名で、前列に2人分のシートしかないため、あまり海外では人気がありません。
基本的に、古くなればなるほど、走行距離が増えれば増えるほど、海外に輸出される割合が高まる事を考慮すると、
そのようなハイエースを中古車で購入する場合、スーパーGLを選ぶ方が海外との競合を避けて、安く買えるということになります。
逆に言えば、年式が新し目で、走行距離も短いハイエースの場合、スーパーGLは国内需要が強く、非常に高いです。
そして、それをある程度乗りつぶすと、海外での需要が比較的低くなるスーパーGLはリセールバリューは非常に下がってしまいます。
新し目のハイエースを買う場合で、特にグレードにこだわりが無い場合は、リセールバリューを考えて、DXを選択するという考え方もありだと思いますね。
⑤修復歴について
海外では一部の国(ニュージーランド等)を除いて、修復歴の有無についてはほとんど値段に影響しない場合が多いです。
そもそも修復歴という概念すらない国が大多数じゃないでしょうか。
そのため、車軸が曲がるような大きな事故を、”おこし”と呼ばれる独特の技術で無理やり修理したような、いわくつきのハイエースでなければ、基本的にハイエースは修復歴で大きく値段が下がらない車です。
④と同様ですが、これは海外に行く割合が増えれば増える程、修復歴の有無の違いによる値段の差はほとんどなくなってきます。
つまり、国内でハイエースを中古車で買うなら、
多少なりともリスクを伴う”修復歴のある”車より、”修復歴の無い”車を購入する方が賢い選択と言えるでしょう。
上手な中古ハイエースの選び方まとめ
ここまでの記事を一気に箇条書きでまとめてみました。
- 海外との競合をなるべく避ける
- 年式による絞り込みは要注意
- 走行距離はきっちり絞り込む
- 好みの色を選択しても大丈夫
- 古いまたは、走行距離が多いハイエースを選ぶならスーパーGLがおすすめ
- 修復歴はあってもなくても値段の差は小さい。だからリスクのない修復歴無しを選択すべき
以上、中古ハイエースの上手な選び方でした。