修復歴がある車は安い!でもどんなデメリットがあるの!?

修復歴ありの車のデメリット 車買取業界の闇
記事監修者:
古物商:大阪府公安委員会第622030193808号
JAAI認定中古自動車査定士 査定士番号:0061753379
株式会社Direct Stock Japan 代表取締役 山本剛

ネットで中古車を探していると・・・

「ん??あれっ!この車、他に比べ20万円も安い!!距離も少ないし、凹みがあるわけでもない・・・なんで??」

 な~んて経験をしていませんか??

よーく見てみると・・

 

 そこには『修復歴あり』と小さく書いてあるではないか!

 

修復歴あるの車とは、昔の表現で”事故車”ですね。

 

 でも、修復歴のある車も、ぱっと見る限り、修復歴無しの車と比べても特に違いはなさそうです。

なんでこんなに価値が下がるのでしょうか???

 

 僕も自動車業界に入りたての頃、どうしても違いが分かりませんでしたし、なぜそれほど価値が下がるのかもしりませんでした。

 今回はそんな疑問をスッキリ爽快解決したいと思います。

過去に事故があった車には、どのような影響が生じるのか?

事故をしても、例えば、バンパーやドアなどの、外板パネルの板金・交換だけで済めば、修復歴とはなりません。

 修復歴は車の骨格部位に損傷や、修理跡があるものとされています。

※ちなみに骨格部位とは下記のペーパークラフトの部品を参考にしてください。

車のフレーム

ひと昔前(20年以上前)までは、事故を起こした車で、修理状態の悪い車の場合、パッと見ただけでも車軸が曲がっていて、走行事態に大きな影響を及ぼす車もあったそうです。

 しかしながら、現在では、このような車は、かなり減ってきています。

 なぜなら、今では、過去に相当な事故を起こした車であっても、素人が修復歴を発見するのは不可能と言える状態まで修理の技術が向上しているからです。

 それでも、日本においては、修復歴のある車は避けられます。そのため、中古車としての価値はグンっと下がります。

 ここで、一般的に言われている事故車のリスクをGoogleの検索で調べてみました。

一般的に言われている事故車のリスクについて(Google検索より)

検索キーワード:事故車 リスク (検索1位)

デメリット

  • 安全性に問題がある(かもしれない・・・)
  • 故障が頻発する可能性がある(かもしれない・・・)
  • 保証がある販売店でないと怖くて手が出せない

参照元:事故車 買取 URL:http://www.kuruma-sitadori.com/accident-car-purchase/accident-car-demerit.html

検索キーワード:事故車 リスク (検索4位)

事故車のリスクって何?

中略)技術が高い業者ならば、アライメント(車体やホイルなどの歪み)なども非常に厳しく点検し、事故の跡が素人目には全くわからず、修復の際につくビスの脱着した跡すらわからないように塗装する事も出来るのです。

中略)修復カ所と規模によってはダイレクトに足回りに影響しますので、そこを考えて買うべきです。

参照元:3度の飯よりクルマが好き! URL:http://mycar-review.com/jikosya-tyuiten/

事故車のリスクについて調べた結果

事故車のリスクをネットで調べてみたものの、

「事故車を買ったら、具体的に、こんなひどい目にあった」

というトラブル記事は見つけられませんでした。

 

 「車がまっすぐ走らないかもしれない・・・」「トラブルが頻発する可能性があるらしい・・・」

という記事がほとんどです。

中古自動車査定協会大阪支部の講師に事故車のリスクについて尋ねた結果

以前、査定士講習を受講した際、講師の先生に、修復歴ありの車のリスクについて尋ねた際の返答を紹介します。この質問の回答に、修復歴のある車が価値を落とす、最大の理由が秘められていました。

先生、修復歴のある中古車にはどんなリスクがあるのでしょうか?
講師
一般的には、走行に影響がでる(かもしれない)とか、故障が起きやすい(かもしれない)と言われているね。
修復歴ありの車が、故障が多かったとか、走行上の問題が起きやすいという統計などはあるのでしょうか?
講師
実際に、このような統計を取ったデータなどはありません。イメージが先行している事は否めないでしょうね。事実、修復歴ありの車の価値がここまで落ちる背景には、日本人独特の文化が背景にあるようです。
えっ??日本人の文化って、具体的にどういう意味ですか?
講師
日本人は、事故に遭った車に対しなにより、「縁起が悪い」という強い印象を持つ傾向があります。実は、車の価値を下げる最も大きな原因はこの”縁起が悪いという印象”言われています。
講師
その証拠に、一部の国(ニュージーランド等)を除いて、海外では修復歴という概念すらない国がほとんどです。実際、海外に輸出される中古車のほとんどは、修復歴の有無でその価値に違いは全くありません

修復歴のある中古車の(購入する場合の)最大のデメリットについて?

これまでの内容をまとめると、

  • 修復歴のある車には、走行上の問題や故障のリスクは考えられるものの、はっきりした統計など確証はない
  • 価値が下がる最大の原因は「縁起が悪い」という日本人独特の印象の問題

はっきりしている事は、

 「修復歴あり」というレッテルが張られる事により、確実に価値が下がるという事ですね。

つまり、売却する際に、修復歴があるとその分、修復歴の無い車よりも安い金額でしか売れないという事です。

修復歴ありの車は実際何万円ぐらい価値が下がるの??

 実は、これにはちゃんとした基準があります。

日本中古車査定協会(JAAI)が示す、修復歴のある車の減点基準を紹介します。

外板価値減点並びに修復歴(未修理車を含む)減点

減点の算出方法(参考までに、式の中身自体はどうでもいいので、さらっと流してくださいね)

 √(基本価格×修理概算額)÷ 4.8 × 係数 = 減点点数(単位千円)

という式に当てはめて、減点を算出します。(修理概算額等の詳しい内容が知りたい人はこちらでどうぞ)

 

 ルート記号が出てくる時点で、一般の人が使う式でない事は分かると思います。

ここで重要な事は、こんなルート記号の入ったややこしい式そのものではなく、

 

 修復歴がある車は、どんな事故であれ一律でこの式に当てはめて減点がなされるという点です。(これのどこが問題かは後述します)

 

では、ここで具体例で修復歴の減点がどれくらいになるのか紹介しますね。

 

具体例1) プリウス 24年7月モデル グレードG フロントクロスメンバーに板金跡ありの場合

基本価格=980(千円) 修理概算額=500(千円) 係数=1.0

修復歴減点=√(980×500)÷4.8×1.0=145(千円)=14万5000円の修復歴減点

 

具体例2) アルファードハイブリッド 23年11月モデル グレードG(L-pkg) ピラー交換ありの場合

基本価格=2900(千円) 修理概算額=1100(千円) 係数=1.3

修復歴減点=√(2900×1100)÷4.8×1.3=484(千円)=48万4000円の修復歴減点

 

 車のそもそもの価値や、修復歴の部位によっても異なりますが、数十万円単位で、価値が下がる事がわかりますね。

 しかし、この式を逆手にとれば、

  • どんな酷い事故で、どんなに荒い修理であろうと
  • どんな軽い事故で、いくら完璧に修理していようと

同車種・グレードで、同じ部位の修復歴のある車は、どちらも全く同じ減点になるという事なのです。

 つまり、事故によって、その車に起こりうる今後の悪影響のリスクの大小は、減点の大小とは関係がないという事なのです。

修復歴ありの車を上手に売り買いするためのポイント

修復歴の事を良く知らない一般の人は、「修復歴あり」と聞くと

 「どんなリスクがあるのかわからない・・・」と引いてしまいます。

 

また、修復歴あり=事故車という固定観念が強く、

 修復歴ありの車を売っている中古車販売店は、「事故車を売る店」というイメージが付き、印象が良くありません。

 そのため、「いくら安くても修復歴のある車は一切売りません」

という中古車販売店が最近では増えています。

 

 しかし、修復歴の実情に詳しい、特に車関係のプロは、自分用の中古車を買う場合修復歴のある車をあえて選んで買う事があります。

 彼らは、自分の目で車を見て、どの部分が修理されているかを見て、どんな事故があって、どのように修理されているのかを判断します。

 そして、その中で、修復歴の悪影響のリスクが全くないにもかかわらず、修復歴ありの車としてひとくくりに減点を受け、格安になっている車をオークションでせり落として、自分の車にするのです。

ポイント1 プロと同じ目線で修復歴の中身を判断し格安で買う

まず、ネットなり、販売店の在庫で、一見よさそうだが、「修復歴あり」となっていて、安くなっている車を見つけたら、販売店に問いあわせましょう。

そこで

  • どの部分が修理・板金されているのか
  • どのような事故だったのかの見解

を必ず尋ねてください。

 もし、車の骨格複数に絡んだり、フレーム全体に影響のあるような事故が推測される場合は、そのような中古車を敢えて選ぶ必要はありません。

 逆にフレームの端の一部分が少し凹んだりしただけで、骨格全体にほとんど影響がないにも関わらず、「修復歴あり」になっているような車があれば、それはかなりお買い得になっているはずです。

 ただし、販売店側も、ピンからキリまであります。

なかには、修復歴の部位は分かっても、事故の見解が述べられない(推測できない)販売店もあります。そのようなお店で、修復歴車を買うのはリスクが高いのでオススメはできません。

ポイント2 売却の際は輸出業者に聞いてみる

コンディションのいい修復歴車を格安で買ったものの、売却するときに、同じように値段を下げられてしまっては、元も子もありませんね。

 売却の際にも、”ひと工夫”が必要です。

上にも書きましたが、海外では修復歴という概念がない国がほとんどです。

 ですので、一度輸出業者にあなたの車を査定してもらいましょう。

 

ただし、どんな車種でも海外に輸出されるわけではありません。海外向けの車は限られています。

あなたの車が海外向けかどうかはこのページで確認してみてください。

 

 ディーラーの下取りや、国内の買取業者の多くは、仮に査定する車が輸出用の車であっても、お客さんにいちいちその事を伝えません。

 もし、修復歴があれば、きっちり減点されることになります。

もし、そういった場所で見積もりを取る場合は

 「輸出業者にも相見積もりを取る

 

とひとこと言っておきましょう。

 その一言があるのとないのでは、修復歴の減点が大幅変わってくる可能性があります。