車の下取りの適正相場を知りたい。
そもそも、適正相場とはなんでしょうか??
私は、車を業者に売る場合の、限界の相場と考えています。
実は、車の売買には全業者共通の限界の相場というものがあります。
しかし、残念ながら、これは誰も教えてくれません。
お客さんに限界の相場を知られたら、「車の下取り・買取」
というビジネスが成り立ちませんからね。
だから、自分で調べる以外方法はありません。
この限界相場を知るにあたり、100%の精度を求めるなら、
あなた自身が業者になるしか方法はありません・・・・がしかし、
今日紹介する方法を使えば、100%でなくても、かなり近いレベルで、
車を売る場合の限界相場を自分で知る事ができます。
少々面倒ですが、限界相場を知らずに売ると何十万円も損するリスクがある事を思えば、
なんでもない作業です。
前回も「車の下取り相場を個人情報不要で調べる事ができるサイト3選」を紹介しました。
結論を言えば、Goo-netのスマホアプリを使えばある程度の相場を簡単に知る事はできます。
ただし、前回紹介したこのアプリはあくまで平均的な買取相場を調べるツールであって、限界価格を調べるものではありません。
限界相場を調べるには、唯一無二の方法だと自負しています。
事前知識が必要!これだけは知っておかないと話が進められません。
事前知識1.車の下取り・買取相場に限界なんてあるの?車下取り・買取の仕組みについて
あなたが、車を別の素人に直接売るのであれば、限界の相場などないと思います。
相手が、その車をどうしても欲しい理由があれば、幾らでも高く売れるでしょう。
しかし、業者が相手の場合、業者あなたの車が欲しいのではなくて、あなたの車を売って得る利益が欲しいわけです。
そんな業者の転売先は、エンドユーザーではありません。それが業者オークションです。だから業者オークションで取引される相場が、下取り・買取の絶対の限界値となるわけです。
なぜ、これが限界となるのか?
ここでは詳しい説明は省略しますので、詳しく知りたい人は下記記事を読んでください。
事前知識2. ネット上の買取相場の記事はほぼデタラメという事実について
下取り(買取)の限界値は、この業界にとっては、大変にデリケートな存在なのです。
だから、簡単にわかるものではありません。
そもそもネット上で具体的な「車名+下取り(買取)相場」と検索しても、ある程度買取相場を書いたような一覧記事が出てきたりします。
しかし、ほぼ95%以上はデタラメだと思ってもらって構いません。
なぜなら、ほとんどが、買取業者が直接書いてある記事ではないからです。
記事を書いている人は、そのページのボタンを読者にクリックさせる事で報酬を得ている、いわゆる”アフィリエイター”の記事なので、
体験談等を装って、デタラメなデータを羅列しています。
なぜ、ウソだと分かるかというと、
そのような買取相場を見ると、クリックさせたいがために、買取価格を業者オークションの相場より高い金額で書いてある場合が多いからです。
ちなみに、業者に買取ってもらう場合、買取価格が業者オークションの相場よりも上がる事は物理的に絶対にありえません。
なので、データの一覧の中に、一つでも業者オークション相場以上のデータがあれば、そのデータが嘘である事は、プロ側から見ればわかるのですが、一般の人には残念ながらわかりません。
そのため、デタラメ記事も、堂々と検索の上位で表示されていますので、あらかじめ注意が必要です。
また、「ネット一括査定に登録すれば、一分で車の買取相場がわかります」なんていう記事もあふれていますが、安易に個人情報を入力すると、どエライ目に遭わされるので、気を付けてください。
下記記事を事前に読むことをおすすめします。
事前知識3.真の買取相場は、中古車の販売価格から推測するしかない
買取相場を買取業者に尋ねても、 それは、彼らが買取りたい金額なわけで、
本来の相場は見えません。
しかし、販売価格の相場はある程度信頼できます。
販売の価格は、買取の価格と違って、目に見えていますよね。
だから、高すぎても、安すぎても、販売店は困るので、正直な価格にせざるを得ないからです。
ネットの場合、価格比較も簡単ですので、より販売店は嘘がつけないわけです。
と思うかもしれませんが、
これが多くの人が陥る失敗です。
☆よくある勘違い☆
中古車の流通の仕組みがわかっていない人は、中古車販売店の売値から、
う~ん、中古車の利益は一台10万円~15万円くらいだろう・・・・販売価格ー15万円くらいかな?
と勝手に、推測するわけです。
例えばネットで自分の車と似たようなスペックの車が、150万円で売りに出されていたとしましょう。
この金額を見て、多くの素人は
と変な期待を持ってしまう人がいるのです。
残念ながら、その金額を期待していては、買取店を100件まわっても、1000件まわっても、絶対にどこも買ってくれません。
大抵このような勘違いをしている人は電話で
と言ってきます。吹っ掛けの対抗馬に”ガ〇バー”という所が、典型的ですね。
しかし、恥ずかしい事にこの手の吹っ掛けは、一切の疑いなしにウソという事が買取業者は100%お見通しなわけです。
なぜなら、業者オークションの相場より高い金額を買取店が提示するわけないからですよ。
この手のフッかけは必ずオークション相場よりも高い金額になるため、業者から見れば一目瞭然ですからね。
事前知識4 中古車販売の仕組みと、一台あたりの利益率
事前知識3で、車の下取り・買取の相場は、車の販売価格から逆算する方法が一番いいと書きました。
そのため、事前に中古車販売店の最低限の利益を知っておく必要があります。
☆車一台販売あたりの利益率
中古車販売店さんの利益は仕入原価の15%~20%程度と考えていいでしょう。ただし、下限は10万円程度です。
それ以下で、中古車というリスクの高い商品を売って、継続的に利益を上げる事はまず不可能です。
中古車の仕入れ先は、下取りや買取ではなく、90%以上が業者のオークションです。
ですから、販売店がネットで掲載している金額を80%または、85%割掛けしたものが、中古車の限界価格を知るうえで、最も重要な業者のオークション相場と見ればいいわけです。(利益が10万円以下になる場合は一律10万円と考える)
では、大変お待たせしました!具体的な車でシュミレーションしてみましょう。
車の限界価格を知る方法その1:カーセンサー、Goo-netを使う方法
こんな車の相場を調べるのにおすすめ👇
カーセンサー・Goo-net は国内向け中古車のポータルサイトです。
ここに掲載されている車両は、中古車として十分に価値のある車両ですので、
大きな傷、凹み等が無く、また修復歴のない車両がほとんどです。
あなたの車に、大きな傷、凹みが無く、修復歴がない場合はこれらのツールを利用するといいでしょう。
調べ方手順
今回は例としてカーセンサーで
2013年式(3年落ち)のハイエースバン・ディーゼル 3L 標準ボディースーパーGL 走行約2万キロの買取限界価格を調べてみました。
手順1 限界価格を調べたい車(あなたの車)と同条件の車を検索し、価格を調べる
カーセンサーで検索すると、一番近いものの車両本体価格が285万円(消費税税込み)となっていました。
消費税抜き価格は 285万円÷1.08= 約264万円 となります。
(※ 注意 本体価格と支払い総額の差をチェックしましょう。この差が20万円以上ある場合は、本体価格を安く見積もって、諸費用で利益を取るような見せかけの値段設定になっている場合があり、そのような場合、車両本体価格はあてになりません。)
手順2 業者オークションの相場を逆算する
中古車販売店の利益を15%とすると、販売価格の85%が仕入れ価格となります。
計算すると次のようになります。
264×0.85= 約 224 万円
がこの車の業者のオークションの取引相場の予想価格となりそうです。
では、実際の業者オークションのデータがどうなのか、今回は特別に実際のデータをお見せします。
ズバリ!224万4千円。
ここまで、ピッタリ当たる事も珍しですが、
このように、きちっとしたデータを選べば、予想が可能です。
手順3 いよいよゴール!下取り・買取の限界値の計算
(※前置きですが、下取りにしても、買取にしても、お客さんが、無防備で相見積もりを取らないようなお客さんであれば、いくらでも安く取ります。極端に言えば、オークション相場244万円のこの車に対しても、「下取り見積もりは150万円です」なんて言う事もざらにあります。)
では、限界値の計算に参りましょう。
下取りや買取でも、相場変動のリスクもありますし、
最低限の利益が無ければお店が成り立ちません。
オークション相場244万円の場合、買取の限界はその価格の90%掛け(10%ダウン)の金額だと考えていいと思います。ただし、70~80万円以下のものでも、下取り買取の利益の下限値は7~8万円程度になります。
つまり、
224万×0.9= 約 202万円
これは消費税抜きの金額なので、消費税を含めた最終的な買取価格は
202万円×1.08= 約 218万円 という事になるでしょう。
カーセンサー、Goo-net を使う場合の注意点
上にも書いていますが、車両本体と支払い総額の金額を比べて、異常なほど差がある場合の車両本体価格はあてにならないので注意してください。
また、車の母数自体が少ない車両の場合、希少価値から、高めの設定になっている事があります。
逆に、人気車種は、支払い総額までもごまかして、安めに書いている場合もありますので、あくまで一番平均的な価格の車でシュミレーションするようにした方がいいですね。
車の限界価格を知る方法その2:輸出ポータルサイトtradecarviewを利用する方法
こんな車にオススメです。
tradecarviewは車情報サイトcarviewが運営している、中古車海外輸出向けのポータルサイトです。
このサイトを通じて1000社以上の輸出業者が、全世界に中古車を輸出しています。
国内での中古車としての再販が見込めそうにない車の場合はこのサイトを使って買取相場をシュミレーションすることをおすすめします。
箇条書きすると以下のような車です。
- 傷、凹みが多い車
- 低年式の車
- 過走行の車
- 修復歴がある車
このような車でも、走行上の問題が特になければ、そのままの状態で海外へ輸出されています。
輸出相場を知る事も出来るため、国内ポータルサイトと組み合わせて使用すれば、どんな車でも、プロ並みに相場が読めるようになります。
調べ方
手順1 まずはトップ画面より、相場を調べたい車の情報を入力
今回調べる車は、ハイエースバン、平成20年、走行距離約19万km、型式(車検証に記載されています)LH172V としました。
上図のように、あなたの車に近い車を探すために、下記項目を選びます。
- メーカー
- モデル名
- 年式
- 排気量
上記項目を設定したら、赤色の検索ボタンをクリックします。
手順2 検索結果画面と計算のための準備
下記の画面が現れます。
この検索結果画面が表示されますので、あらかじめ準備として、
- 国:ケニア共和国 を選択
- 港:MOMBASA を選択
- 輸出前検査のチェックをはずし
そして、最後に計算をクリックしておきます。
また
- 通貨:JPY を選択
しておきます。 これで準備は完了です。
※なぜ、ケニアのモンバサを選択したのかというと、
tradecarviewは主にアフリカ向けの輸出ポータルサイトであるため、
輸出業者の多くは、最も重要度の高い東アフリカ諸国の玄関口であるこの港向けの船賃を基準にして、価格を決めています。
ここを選択することで、より正確な相場を確認することができるからです。
手順3 検索結果より、あなたの車に近い条件の車を探す
画面をスクロールしながら、型式記号と走行距離を確認しながら、あなたの車の型式に一致していて、
走行距離の近いものを探します。
見つかったら、C&F と書かれた部分の価格をチェックしておきます。
ここは600,768円となっています。
手順4 業者オークション相場の推測の仕方
それでは、輸出業者が車を仕入れて、この車のこのプライスをつけた根拠である、業者オークションの相場を考えてみます。
まず、上でチェックしたC&Fの価格意味を説明します。
C&F価格とは海外のバイヤーがこの輸出業者に支払うお金を意味します。この価格に含まれるものの内訳は
- 車両原価(オークションの相場)
- 船積みま諸費用(陸送費、乙仲費用、放射線費用等々)
- 船賃
- 輸出業者の利益
となっています。
つまり、
オークション相場を計算するには C&F価格ー船積み諸費用ー船賃ー輸出業者の利益
を計算すればいいわけですね。
では、ここでそれぞれの費用の説明と、それが具体的にいくらぐらいなのかを書いておきます。
船積みの諸費用・・・各オークション会場から港までの陸送費+乙仲に払う代行費用+放射線検査+そのた書類のやり取りのための郵送費等をすべて合計すると、3万円程度
船賃・・・車の大きさにより決まります。ハイエースバンの場合、ケニアのMombasa港までちょうど10万円程度になります。ワゴン車でも同程度です。セダンの車で7~8万円、ハッチバックの車で6万円~7万円程度です。
輸出業者の利益・・・C&F価格の大小で異なりますが、C&F価格の20%程度が最初の利益設定となっている事が多い。今回のハイエースでは約60万×0.2=約12万円程度
※海外の場合はこの価格からさらに、値下げ交渉が必ずあるため、実際にここで表示している価格で車が売れることは滅多にない。
つまり、今回のケースでは、
オークション相場 =C&F価格 約60万円 - 船積み諸費用3万円 - 船賃10万円 ー 利益12万円
=約35万円程度
実際の業者オークション相場を確認
上でシュミレーションした、
- ハイエースバン
- 平成12年
- 走行距離:189,360km
- 型式:LH172V
に近い車を業者オークションのデータベースより探して見ると、
おっと、これはズバリ、まさにこの車の生データがでてきました。
業者オークションの成約価格を見ると37万円となっています。
2万円の誤差はありましたが概ねこのあたりが業者オークションの相場という事になりそうですね。
業者オークションの相場がわかれば、下取り・買取価格の相場
さて、カーセンサーの場合と同様、業者オークションの相場がわかれば、あとは実際あなたが車を売る場合の下取り・買取相場についてシュミレーションしてみましょう。
まず、上にも書いてありますが、無防備に下取り・買取にもっていくと、この手の輸出用の車は特に、酷い査定になります。
例えば、この上記のハイエースバンの例だと、平成12年式で18万kmなら、0円と言われても不思議でない車です。
しかし、業者のオークションでは輸出業者が競り合って、37万円になるわけですから、相当気を付けないと、かなりの損をすることになります。
ちなみに、下取りの限界値はオークション相場のマイナス7~8万円程度ですから、この車両の場合は29万円~30万円程度になるであろうと予想されます。
ちなみに、弊社は直接買取をしている輸出業者ですので、このハイエースバンのような直接輸出ができる車の場合の査定金額は、上記で計算した、一般の買取の限界金額に2~3万円程度プラスした金額にしています。
買取価格も公開しています。ハイエースバンの弊社の買取価格はこちらからどうぞ。
買取限界価格がわかってもディーラーの下取りは交渉に応じないよ
上記の2つの方法で、買取の限界価格がわかっても、新車ディーラーの下取りでは、価格の交渉に一切応じてくれません。
これには、新車ディーラーならではの大変深い事情がありますので、下記記事を読めば理由がわかります。
なので、限界価格付近で売りたければ、買取店を最低2店舗程選び、釣り上げる方法をおすすめします。
下記記事に具体的に紹介しています。
本日のまとめ
- 車の下取り相場・買取相場は、中古車の販売価格から業者のオークション相場を割り出し、そこから下取り・買取店の最低限の利益を差し引いた金額が限界の相場となる。
- インターネット上の買取相場の記事、基本的にデタラメである。
- なにも考えずに(相場も知らずに)、無防備に下取り・買取にもっていくと、何十万円も損することがある。
- 業者オークションの相場を割り出すには、国内中古車サイト(カーセンサー・Goo-net)から割り出す方法と、海外輸出ポータルサイト(tradecarview)から割り出す方法の2種類がある。
- 業者オークションの相場がわかれば、相場が80万円以上であれば、その金額に0.9をかけた金額が買取の限界値になります。また、業者のオークションの相場が80万円を下回る場合はその金額から7~8万円引いた金額が買取の相場の限界値となります。
- 限界相場を見極めたら、いざ価格交渉。でも新車ディーラーは価格交渉には応じてくれません。最低でも買取店二店舗で交渉しましょう。
以上で本日の記事「車の下取り相場を業者への問いあわせる事無く調べる方法」を終わります。