高齢者の運転による、取り返しのつかない事故のニュースが後を絶ちません。
幼い子どもの命も奪われています。
私は現在38歳です。妻と二人の子どもがいます。
私の両親もすでに65歳を超えて、高齢者の仲間入りを果たしています。
この問題は、他人事ではありません。
私だけではなく、日本に住んでいて、この問題が他人事と言える人は、一人もいないでしょう。
というわけで、
今回は、高齢者ドライバーの事故の問題について、単なる事実を伝えるニュースではなく、
この問題を取り巻く現状と、自分の家族が、加害者や被害者にならないために、
どうするべきか、真剣に調査し、考えたのでまとめてみました。
平成28年中に起こった高齢者による事故一覧
発生日 場所 運転者年齢 概要 平成28年7月7日 岡山県倉敷市 69 乗用車が山陽自動車道を逆走し、大型トラックと正面衝突、乗用車の女性が死亡 平成28年10月28日 横浜市 87 軽トラックが集団登校していた小学生の列に突っ込み、男児1人死亡、7人が重軽傷。軽トラックの男に認知症の疑い 平成28年11月10日 栃木県下野氏 84 病院の正面玄関付近に乗用車が突っ込み、女性1人死亡、2人けが。ブレーキとアクセルの踏み間違え急発進か 平成28年11月11日 東京都板橋区 80代 コンビニエンスストアの入り口に乗用車が突っ込み、店内にいた客2人が軽傷。運転手は事故について「全く覚えていない」と説明 平成28年11月12日 東京都立川市 83 災害医療センター敷地内で乗用車が暴走し2人が死亡 平成28年11月13日 東京都小金井市 82 自転車で横断歩道を通行中の女性が、左折してきた乗用車にはねられ死亡 平成28年11月13日 千葉県長南町 81 横断中の85歳男性が乗用車にはねられ死亡。81歳の運転手は「お互いによけようとしたが、よける方向が同じでぶつかった」と供述 平成28年11月14日 茨城県つくば市 60~70代 軽トラックと軽乗用車が出合い頭に衝突、横転した軽乗用車は走行してきた軽ワゴン車と衝突し1人死亡4人負傷。5人はいずれも60~70代 平成28年7月14日 京都府京丹後市 67 81歳女性が67歳女性の運転する車にはねられた。女性は反動で対向車線に飛び出しもう1台の車にはねられ、死亡 平成28年7月18日 大阪府貝塚市 68 道路を横断していた80歳女性が、直進してきた軽乗用車にはねれ死亡。運転者は「ブレーキをかけたが間に合わなかった」と供述 平成28年11月20日 埼玉所沢市 75 路上を歩いていた74歳男性が75歳の運転する乗用車にはねられ、頭などを強く打って死亡した。 参照元:https://news.infoseek.co.jp/feature/elderly_drivers_license/
高齢者事故の統計
高齢者事故の原因とは?
もちろん高齢者が事故を引き起こす原因は一つではありません。
一般的によく知られている原因を挙げてみます。
認知症
高速道路の逆走が後を絶ちませんが、驚くべき調査結果がありましたの紹介します。
NEXCO東日本の調べによると
平成26年の高速道路の逆走事案は198件でした。
この逆走事案の内
- 6割が65歳以上の高齢ドライバー
- 逆走事案の4割の運転者に認知症の疑いあり
という調査結果が出されています。
※出典:http://www.e-nexco.co.jp/pressroom/press_release/head_office/h26/0910/pdfs/pdf.pdf
高速道路の逆走は、正面衝突の危険性がかなり高く、他人の命を奪う可能性が極めて高いとても危険な事案だと言えます。
それが、年間200件近くもあって、そのうち4割近くの人が認知症の疑いがあるという恐ろしい結果です。
逆走は一つの例ですが、認知症が原因による事故の割合は非常に高いという重要な調査結果ですね。
注意力・判断力・反射神経の衰え
認知症まではいかないとしても、誰しも年齢を重ねるとともに、注意力や判断力は衰えてきます。
車の運転の場合、とっさの判断を一つ間違える事で、それが命取りになるケースは少なくありません。
高齢者の場合、そもそも危険を察知する注意力が若い時に比べ衰えてきています。
「はっ」と危険を察知するタイミングが遅れてしまいます。
そこに来て、とっさの判断を誤ってしまう。
例えば
「ブレーキとアクセルを踏み間違える」
典型的な高齢者による事故の原因ですね。
また、操作ミスの典型としては、プリウスのシフトレバーのドライブギアとバックギアの間違いも多いようです。
プリウスはマニュアルトランスミッションのようなシフトレバーがついているのですが、
一般的なマニュアルのシフトレバーのRの位置がDとなっていますね。
もちろん高齢者だけに限りませんが、注意力が衰えている高齢者ならなおさら、ついうっかり間違えそうな仕様となってしまっています。
最大の原因はこれ「高齢者の運転能力の過信」
注意力・判断力が年齢とともに衰える事が明らかであることはすでに触れました。
そして、この図の結果をみて下さい。
これは、2016年12月に放送された「クローズアップ現代」において、
10代から70代までのドライバーに対するアンケートを行った際の調査結果です。
「事故を起こさない自信があるか??」
の問に対し、
見ての通り、年齢による衰えに完全に反比例し、
高齢者になるにつれて、
「自分の運転に自信がある」
と答える人の割合が増えています。
70代後半のドライバーにおいては、50%を超える人が、
「事故を起こさない自信がある」と答えていますね。
これについて、番組にゲストとして出演していた
慶応大学医学部教授の三村さんは、以下のように述べています。
特に反射神経とか、さまざまな運転に関わるいろんな機能の中で、認知機能というのは、どうしても年齢とともに落ちてきてしまうことがあります。
そして、それ自体は落ちてくるだけでなく、結構、人によってバリエーションが大きい、低下がある人ほど自覚が乏しいということも言えるかもしれないです。
つまり、機能面が衰える事に比例して、自覚が乏しくなり、過信する。
という事ですね。
最近、テレビ番組やニュースでさいさん取り上げられ、問題となっている高齢者の事故が増え続ける最大の原因はここにあるのでしょう。
人口における、65歳以上の割合が増え続けることが確定未来となっている今、
現状のままでは、今後の高齢者による事故の増加も、また同様に”確定未来”と断言していいでしょう。
”免許の返納”が進まない理由=当たり前やん!あなたは免許返納できる?
「最近の若者は、車を持たなくなってきている」
と言われています。
実際、車が無くても、若くて元気な内は、電車やバスを使えば、
それほど不自由を感じずにどこにでも行く事ができます。
しかし、「自分がもし高齢者になったら」と真剣に考えてみましょう。
仕事はすでに引退しています。足腰は弱ってきて、歩き回るのはおっくうです。
私の場合は、釣りが趣味です。
仕事を辞めて、時間が一日あれば、しょっちゅう釣りに出かける事になるでしょう。
いくら足腰が弱くなったからといって、家の中で一日中テレビの前に座っている生活など耐えられません。
また今日も、車に乗って釣りに出かけようと準備をしていると、
テレビから
「高齢者は免許を自主返納しましょう」
という声が聞こえてきました。
頭の中で
「もし。。免許を返したら・・・・」
という想像をしてみます。
多分釣りにはいけなくなるだろう。買い物もあまりしなくなるだろう。出歩くこともなくなりそうだ。
そのうち寝たきりになるだろう。
この先、何を生きがいに生きていったらいいだろう。
一度免許を返したら、
「やっぱり返して」
というわけにはいきません。
もう死ぬまで自分で運転して出かける事が出来なくなるのです。
事故を起こす可能性が100%ならもちろん返納するでしょう。
でも
「事故を起こすかもしれない」
可能性があるだけです。
人間、「可能性がある」だけでは、なかなか行動できません。
自らの死ぬまでの楽しみや生きがいを簡単に放棄することなど、できるはずがありません。
”自主返納を呼びかける” などで、自主返納が増えるはずがありません。
私が声を大にして言いたいのは、
”本人の意思で、免許を返納させるという事など、ほぼ不可能”
という事なのです。
ではどのように、高齢者の事故の対策をすればいいのでしょうか?政府は?我々は?
さすがに、私のような一般市民まで、この問題をブログに書くような事態になっていますので、
政府としても、 ただただ鼻くそほじった指をくわえたまま
というわけにもいかなくなったようで、
道路交通法の改正に着手しました。
では、まずは政府の打ち出した改正道路交通法の中身を見てましょう。
高齢者事故対策① 政府の打ち出した改正道路交通法とは?
平成29年3月12日より改正道路交通法が施行されました。
さて、政府が打ち出した高齢者を簡単に解説します。
具体的には、免許更新の手続きに変更が加わりました。75歳という基準で分かれますので、それぞれ確認していきます。
75歳未満の人は?
75歳未満の人は、特に変更はありません。従来通りの免許更新制度となります。
75歳以上の人は、免許更新前に認知機能検査が必須となります。
今回の改正のメインはここになります。
75歳以上で免許を更新する人は、認知機能検査(講習予備検査)が必須となりました。
認知機能検査(講習予備検査)とは?
記憶力・判断力の判定を内容とした検査で、検査員の説明をうけながら、検査用紙に記入して行う検査です。
下記のような検査項目があります。参照元:高齢者運転支援サイト
①時間の見当識
問題例
②手がかり再生
問題例
③時計描画
問題例
認知機能検査の結果によっては免許取り消しとなる場合があります。
最も気になるのはここでしょうか?検査の結果次第では免許取り消しとなるケースもあります。
検査の結果をどのように判断するのか簡単に説明します。
認知機能検査は結果の判定は認知機能の低下の程度により3種類に分かれます。
- 第3分類
- 第2分類
- 第1分類
第3分類になった人
特に認知機能に問題無しと判断される人です。75歳未満の人と同様の講習(2時間の講習)を受けて、免許更新となります。
第2分類になった人
認知機能の低下に注意が必要と判断される人です。3時間の講習が必要となりますが、講習後免許更新となります。
第1分類になった人
医師による診断が必要と判断される人です。臨時適性検査または、医師の診断を受ける事になります。その後下記のように分かれます。
- 臨時適性検査または医師の診断を受けない ➡ 免許停止の行政処分
- 臨時適性検査または医師の診断結果「認知症」と診断された ➡ 免許取り消しの行政処分
- 臨時適性検査または医師の診断結果「認知症でない」と診断された ➡ 3時間の高齢者講習ののち免許更新
高齢者事故対策② 家族がすべき事
まずは、高齢者ドライバーの家族が知っておくべき事がありますので、対策の前に確認しておきます。
高齢者の事故はその家族に責任が発生する可能性あり
認知症高齢者が徘徊中の事故により他人に損害を生じさせた場合・・(中略)・・認知症高齢者は民法713条により、不法行為の責任を免れる。そこで同法714条1項により、「その責任無能力者を監督する法定の義務を負う者」が損害賠償責任を負う事になる。
出典:認知症高齢者の不法行為と監督義務者の責任(京都学園大学学術リポート)
つまり、民法714条の1項により、
認知症の高齢者が事故を起こした場合、その監督責任者である家族が、損害賠償責任を問われるという事になりますね。
高齢者事故の問題は、
法的にも、その家族に直接的に関わりのある問題という事になるのです。
免許の更新有無にかかわらず、まずは自分の家族である高齢者の認知機能を、家族がしっかりと見極めなければいけません。
万が一認知症の疑いがあれば、必ず医師の診察を受ける事をお勧めします。
高齢者ドライバーの家族がすべき対策は?
冒頭にも紹介しましたが、
多くの高齢ドライバーは、自分の運転能力を過信しています。
そのため、単に「そろそろ運転はやめてね」
というような働きかけでは、免許の返納にはまず至りません。
また、根拠もなく免許の返納を促すだけでは、かえって頑固になり、家族間の関係も悪くなってしまいかねません。
まずは、じっくりと家族で話合う事が大切でしょう。
その話をする際に、免許返納の手助けとなるものをまとめていますので、チェックしてみてください。
免許返納をサポートしてくれる材料
①ドライブレコーダーの無料貸し出し
例えばドライブレコーダーの無料貸し出しなどを利用して、高齢者の運転を家族が客観的に判断し、
免許の返納を一緒に話合う等してみてはいかがでしょうか??
インターネットで「ドライブレコーダーの無料貸し出し」と検索してみてください。
また、弊社(車両輸出代行センター)でも、ドライブレコーダーの無料貸し出しを実施します。
「ドライブレコーダーの無料貸し出しの件で」とご連絡いただければ幸いです。
車両輸出代行センター
問い合わせ先:06-6836-7740
住所:大阪府吹田市山田西2-9-6
②各都道府県の実施する高齢者免許返納サポート特典等
下記のリンクより各都道府県の実施する免許返納サポート特典の一覧にジャンプできます。
https://kaigo123.net/menkyohennou-tokuten/